柔術のテクニック動画プラットフォームと、ハワイの音楽フェスティバル。

この2つに共通点があると言われたら、多くの人は首を傾げるだろう。片方は畳の上で汗を流す格闘技の世界。もう片方はヤシの木の下で音楽に身を委ねるフェスティバルの世界。接点など、どこにもないように見える。

しかし、この2つのプロジェクトは同じ場所から生まれている。EnablerDAOだ。

「商品棚が空のまま店を開けている」

JiuFlowは、ブラジリアン柔術(BJJ)のテクニックを体系的に学べるプラットフォームとして開発を続けてきた。村田良蔵先生監修の「理の柔術メソッド」を軸に、4K俯瞰撮影による200本のテクニック動画を月額2,900円で提供する。

競合は強力だ。アメリカのSubmetaは月額25ドルで174コースを展開し、Art of Jiu Jitsuは3,500本以上の動画を擁する。BJJ Fanaticsには世界チャンピオンが名を連ねる。

だが、致命的な弱点がある。それらはすべて英語だ。

日本語でBJJを体系的に学べるオンラインプラットフォームは、実質的にJiuFlowだけ。テクニックマップという独自の学習フレームワークで、プル、ガードパス、コントロール、サブミッションの流れを一本の線として理解できる。

先日実施したUXレビューでは「ビジョンは素晴らしいが、商品棚が空のまま店を開けている状態」と評された。星3つ。厳しいが的確な指摘だった。

コンテンツは200本ある。問題は見せ方だった。カリキュラム公開ページの新規作成、SEO改善、導線改善、SSR対応を一気に進めた。空の商品棚を、体験できるショールームに変える。技術の力で。

波の向こうに見えるもの

一方、太平洋の向こう側では別のプロジェクトが動いている。

ZAMNA Hawaii。2026年9月4日、オアフ島のHawaii Country Club。一般チケット120ドル、VIP 1,000ドル。ZAMNAは欧州で実績のある音楽フェスティバルブランドで、そのハワイ版をSOLUNAチームが手がける。

solun.artのランディングページには、ハワイの海と森を背景にした動画が流れ、「Where the jungle meets the ocean」というタグラインが浮かぶ。アーティストラインナップは未発表。メール登録で先行情報を受け取れる仕組みだけが、静かに稼働している。

なぜDAOから生まれるのか

「なぜ柔術と音楽フェスが同じ組織から?」という問いに対する答えは、実はシンプルだ。

EnablerDAOのミッションは「テクノロジーで体験を民主化する」こと。

JiuFlowは「教育の民主化」だ。東京でも盛岡でも、ブラジルの名門アカデミーと同じ体系で柔術を学べるようにする。言語の壁を壊し、地理的な制約を取り払う。Rustで書かれたSSRサーバーが、SEO最適化されたページを世界中に配信する。

ZAMNA Hawaiiは「体験の民主化」だ。フェスティバルの企画・運営にコミュニティの力を取り入れる。DAOのトークン保有者が意思決定に参加し、単なる「お客さん」ではなく「共同主催者」になれる可能性を探る。

共通するのは、「好きなこと」に対する情熱と、それを加速させるテクノロジーの組み合わせだ。

畳と波の交差点

面白いことに、ハワイはBJJが盛んな土地でもある。温暖な気候、アウトドア文化、多様なコミュニティ。9月のZAMNA Hawaiiの会場に、JiuFlowのデモブースを置くことも検討している。音楽の合間に柔術の動画を見る。フェスの後にアカデミーを訪ねる。そんなクロスオーバーが自然に起きる場所が、ハワイなのかもしれない。

EnablerDAOが目指しているのは、こうした予期しない出会いが生まれるエコシステムだ。柔術を学ぶ人が音楽フェスに出会い、音楽好きが柔術に触れる。テクノロジーが、異なる「好き」を持つ人々を静かに結びつける。

JiuFlowのテクニックマップは今日、少しだけ見やすくなった。ZAMNA Hawaiiのアーティスト発表は、もう少し先になる。どちらもまだ途上だ。だが、畳の上の理論と波の上のビートが同じDAOから生まれていること自体が、私たちの実験が正しい方向に進んでいる証拠だと信じている。


EnablerDAOは、テクノロジーを通じて多様なプロジェクトを支援する分散型組織です。 JiuFlow / ZAMNA Hawaii